日本の中で最も豊かな自然を有する北海道。そんな北海道の縄文時代の歴史をみなさんはご存知でしょうか。あまり教科書などにも載っていないようなので、結構マニアックな歴史かもしれません。日本全体としての縄文時代の歴史は知っているが、北海道に限定されると全く分からないという人が多いと思われます。私も最近までは、全然知りませんでした。
実は、北海道は日本のほかの地方とは、少し違う歴史・文化を歩んでいるのです。この度は、北海道が縄文時代でどのような歴史を歩んできたのかを少しずつ紹介していきたいと思います。
北海道に人類が最初に住んだのは、数万年前の氷河時代と言われています。その後、北海道は本州と同じく旧石器時代を経て、縄文時代に移行しています。
縄文時代という時代は、今から約1万5千年前から2千300年前まで1万年以上にわたり続きました。そして、その縄文時代に北海道を含めた日本列島全体に展開された文化のことを「縄文文化」と言います。縄文文化と言えば、土器や竪穴式住居が有名です。日本の歴史の中で初めて粘土をこねて焼いた器、土器が発明または使用された時代でもあります。
縄文人たちは、旧石器時代から続いた移動生活を離れ、土器や弓矢などの道具を使用し、狩猟・漁労・採集を生活の基盤としながら、竪穴式住居を立てて定住生活を行うようになりました。
食べ物では、縄文人たちは主に野や山に住んでいる動物や木の実、草花、川や海の魚、貝などを食べていました。北海道の石狩のような鮭の上る川の近くにある村では、サケ漁が盛んだったようです。
また、着る物では、縄文人たちは獣や魚皮を加工したものや、木や植物の皮、繊維を加工したものなどを着ていたそうです。北海道のような雪の降る地域では、冬には耐寒性や防風性に優れた毛皮が使用され、履物も使用されていたと考えられています。
このような自然の恩恵を受けながらの生活には、自分たちが自然のバランスを壊すことによって自然の恵みが得られなくなり、自らの生命を危険にさらすことを避ける知恵があったと考えられます。自然との共存が常に考えられていた時代です。世界的に見ると、新石器時代の定住は、農耕を生活の基盤としていましたが、縄文文化は農耕を持たない文化でありながら定住しており、その点で世界的にも珍しい文化と言われています。
1万年以上という縄文時代の長い年月の間には、現在よりも温暖な時期もあれば、逆に寒冷化した時期もあったようです。気候や環境は、大きく変化していきました。このあいだ縄文人たちは、その時々で生活様式を工夫し、環境の変化に適応しながら暮らしました。こうした四季の移り変わりの中から、人や動植物が死んであの世へ行き、再びこの世に帰ってくるという「命の循環と再生」の思想を育んだものと推測されています。自然と共生する持続可能なライフスタイルが世代から世代へと引き継がれてきたのです。
・・・と、ここまでは図書館の資料や学校の教科書などによく載っている内容が多いので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。北海道と本州の人々は、縄文時代では同じ文化を取り入れ、同じような暮らしをしていました。しかし、ここからの時代は、本州と北海道では少しずつ文化が異なってきます。