戦後にも残る「北海道旧土人保護法」


北海道の歴史
北海道の歴史を時代毎に考察し、主な出来事を史実ごとに事実と共に個人の感想を織り交ぜながら紹介します。
◇昭和以降の北海道

北海道では、アイヌの人たちが和人によって、ひどい差別を受け続けていた明治時代。このたびは、そんな明治時代以降の出来事を紹介していきたいと思います。

旭川市旧土人保護地処分法
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旭川市旧土人保護地処分法

 明治32年に制定された「北海道旧土人保護法」は、戦後も生き続けており、昭和9年(1934年)には、「旭川市旧土人保護地処分法」が制定されました。「旭川市旧土人保護地処分法」は、今の旭川市近文で、アイヌの人たちが住んでいた土地を追い出されそうになった問題に対応するためにとられた措置でした。

 この「旭川市旧土人保護地処分法」も、土地の譲渡について「北海道旧土人保護法」の規定を準用することを定めたことだけが機能していました。アイヌの人たちは、アイヌの代表が東京で陳情運動をするなどして、土地が取り上げられるのを防ぎましたが、本来下付されるべき土地を共有財産として北海道庁長官の管理下におかれるなど、後に問題を残す形で収束が図られました。
 「旭川市旧土人保護地処分法」は、昭和10年代以降、土地の無償下付の実績がないなど、その運用実績も乏しく、今日においてはその存在意義を失っていたとみられています。そして、「北海道旧土人保護法」と「旭川市旧土人保護地処分法」の二つの法律は、平成9年7月新法の施行に伴い廃止されました。
 


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